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interview インタビュー

辛川 力太 Rikita Karakawa

多様なキャリアの先に拓く、
自分だけの「ひとかどの弁護士」への道

パートナー弁護士(第64期) 辛川 力太 Rikita Karakawa

profile

東京大学法学部、同法科大学院卒業後、司法試験合格。2011年、阿部・井窪・片山法律事務所入所。国内メーカーへの出向、シカゴ大学ロースクール(LL.M.)への留学、米国・欧州の法律事務所での勤務を経て、2019年よりパートナー。近年、経営大学院(MBA)も修了。事業再生、知的財産、M&A、紛争処理、競争法、ジェネラル・コーポレートなど、幅広い分野でクライアントをサポートする。

入所の経緯

「あなたと一緒に仕事が
したい」という想いが決め手

本日はお忙しい中ありがとうございます。まず、辛川先生が弁護士を志したきっかけからお伺いできますでしょうか。

よろしくお願いします。実は、私はもともと理系の学生で、大学もバイオ系のエンジニアを目指して入学しました。ただ、高校であれほど楽しかった化学の実験が、大学ではどうしても面白いと思えず、これを職業にするのは難しいと感じて、進路変更を考えたのが最初のきっかけです。父の会社の顧問弁護士の方や、法学部の友人の話を聞く中で、数学や物理で学んだ論理的な考え方が、法律の世界と案外親和性が高いかもしれないと感じ、法曹の道を志すことにしました。

理系からの転身だったのですね。数ある法律事務所の中で、阿部・井窪・片山法律事務所を選ばれた決め手は何だったのでしょうか。

学生時代から、倒産と知的財産という分野に興味がありました。大手法律事務所に進めば、どちらかの分野には進めるだろうと漠然と考えていたのですが、ある方から「所属する弁護士を本当に大切に育てている事務所がある」「その阿部・井窪・片山法律事務所には、知財と倒産の両方を扱っている弁護士がいる」と聞いたんです。「そういう事務所やキャリアもあるのか」と非常に興味深く感じました。ところが、事務所のホームページを見てみたら、その年は新卒採用をしていなかったので、「ご縁がなかったな」と、あっけなく諦めてしまいました。今思えば、本当に入りたければ何らか行動に移せることもあったと思いますが、そこまでの根性はありませんでした。運はあったなと思います(笑)。

その後、ゼミの教授のご紹介で偶然にも事務所を訪問する機会を得たのですが、その出会いが私のキャリアを決定づけました。何というか、当事務所は、外形的なスペックというよりも「辛川力太」という一人の人間として向き合ってくれている、と強く感じたんです。最近入所した若手メンバーに聞いても、事務所の魅力として「透けて見える良好な人間関係や雰囲気」のようなものを挙げる人が多いのですが、私もまさにそれを肌で感じていました。「他の誰でもないあなたと一緒に仕事がしたい」という想いが伝わってきた、と言えばいいでしょうか。それが最終的な決め手になりました。この選択を後悔したことは一度もありませんね。

出向・留学

本人の意向や成長、
キャリア形成を
優先してくれたから

入所後は、出向や留学もご経験されています。事務所には、そうしたキャリアを後押しする文化があるのでしょうか。

そうですね。「外の実社会を知るべきだ」という文化が昔から根付いており、その中で私も入所当初から自然と外の世界を意識していました。個人的には海外留学を希望していましたが、ちょうどクライアントから出向のお話をいただいた際に、たまたま適任者が他にいない状況だったのです。その際、事務所が「出向も留学も、両方経験させてはどうか」と判断してくれました。事務所の都合でキャリアが決まるのではなく、あくまで本人の意向や成長を第一に、キャリア形成について真剣に考えてくれたと感じており、とても感謝しています。

出向のご経験は、弁護士としての視点にどのような変化をもたらしましたか。

メーカーへの出向では、「企業の論理」を肌で感じることができました。法律事務所にいるだけでは経験できない「頭の使い方」を学ぶことができた貴重な期間であったように思います。例えば、社内の物事を円滑に進めるために、誰にどういう順番で話を通し、どういう資料を準備すれば事業部門の協力が得られるか、といった調整能力です。事務所に戻った後も、クライアントである法務担当者の方が、その「向こう側」にいる事業部門の方々と日々どんなコミュニケーションをとっているのか、その苦労や力学を想像できるようになったことで、よりクライアントに寄り添った、実践的なアドバイスができるようになったと感じています。

その後の留学経験はいかがでしたか。

私の場合は、シカゴ大学への留学と、サンフランシスコの法律事務所で勤務する機会がありました。ここでの経験は、精神的に私を大きく成長させてくれたように感じます。語学力が向上したのはもちろんですが、それ以上に、言葉も文化も違う土地で、住む場所を確保し、人間関係を築き、学校では学業で結果を出す、あるいは事務所では全くバックグラウンドの違う仲間と協働するという一連のプロセスを、何とか自力でやり遂げた経験が、「どんな環境でも自分はやっていける」という大きな自信に繋がりました。この経験が、あらゆる挑戦への心理的なハードルを下げてくれたと感じています。

業務分野・専門性

すぐ近くにいる多様な先輩から学び、自分のスタイルを築ける

現在はジェネラルに幅広い分野を手掛けられていますが、何か意識されていることはありますか。

帰国後しばらくは、「何か専門分野を確立しなければ」という、いわば「専門家の呪い」のようなものに囚われていた時期がありました。ですが、クライアントと向き合う中で、私の場合、求められているのは特定の法分野の深い知識だけではなく、むしろ彼らのビジネスに寄り添う共感力や、事務所内の最適な専門家に頼りにいく、いわばプロデュース能力のようなものなのではないかと気づきました。あくまで私自身の特性を考えた場合ですが、そこから、特定分野の専門家というよりは、どちらかというとジェネラリストとしてクライアントに貢献する道を意識するようになりました。もちろん、所内には私とは逆に、一つの道を深く掘り下げるタイプの弁護士も数多く活躍しています。

自身の弁護士としてのスタイルは、どのように築いてこられたのでしょうか。

事務所にいる尊敬する先輩たちのやり方を、自分なりに参考にさせてもらってきました。例えば、強気の交渉が必要な場面では、交渉術に長けたあの先生ならどう考えるかを想像しますし、逆に慎重に進めるべき案件では、常に正攻法を真正面から貫き通すあの先生ならどう判断するかを心の中で問いかけます。全員の顔が見え、それぞれの個性がわかる当事務所の規模だからこそ、多様な先輩から学び、自分のスタイルを築いていけるのだと感じています。

事務所の取扱分野

どの分野も「やってみないと
わからない」面白い案件ばかり

事務所の取扱分野についてお伺いします。一般的に「倒産と知的財産のブティック事務所」というイメージを持たれがちですが、実際はいかがでしょうか。

確かに、その二つの分野が当事務所の歴史を支える大きな柱であることは間違いありません。倒産分野では大規模な再生・更生事件、知財分野では世界的な企業間の訴訟に関与するなど、豊富な実績があります。これは、長年の経験に裏打ちされた専門性と、所内に弁理士からなる知的財産部門を擁する当事務所ならではの強みだと思います。

ただ、それは当事務所の一つの側面に過ぎません。少しずつメンバーも増え、それぞれが新たな分野を開拓し続けているなかで、当事務所はますます総合事務所として幅広い業務を手がけるようになっています。
私自身も、入所当初は倒産と知財に関心がありましたが、実際に仕事をしてみると、どの分野も知的好奇心を刺激される面白い案件ばかりで、「やってみないとわからない」というのが実感です。例えば、複雑な会計が絡む商事訴訟や株主代表訴訟、大規模なクロスボーダーM&Aから国内の中堅企業の事業承継まで、規模も内容も多岐にわたる案件を手掛けています。最近では企業の不正調査に関するご依頼や、AIなどの新しい分野のご相談も増えており、会社としての振る舞い方や、経営戦略にも触れるような、法的なアドバイスに留まらない役割を担うことも少なくありません。

本当に幅広い案件を扱われているのですね。

はい。私自身の経験からも、それから事務所全体の考えとしても、若手メンバーには、まずは色々な案件を経験してもらいたいと思っています。特に、訴訟手続に慣れ親しむことが平時のアドバイスにも深みを与えるという考えから、まずは全員に訴訟に携わってもらっています。その上で、自分の目指す方向性を見つけていってもらいたいですね。

個人受任の考え方

アソシエイトに長く事務所で
働き続けてもらうために

若手の育成という点で、他に何か特徴的な制度はありますか?

個人受任の扱いが、そうかもしれません。当事務所では、アソシエイトが個人で事件を受任することを推奨しており、そこで得た報酬は、事務所に納めることなく、すべて本人に受け取ってもらうことになっています。事務所からいただく報酬はもちろんあるのですが、これに加えて、ふとした臨時収入があるのは素直に嬉しかったですね(笑)。

これは、将来パートナーとして自立してもらうために、若いうちから「最終的な責任を自分で負う」経験を積んでほしい、という事務所の考えがあるからです。パートナーのいない案件で、クライアントと直接向き合い、自分で案件の舵取りをする。報酬をいただくことの重みを知る。そうした経験は何物にも代えがたい財産になります。個人事件であっても、先輩弁護士は親身に相談に乗ってくれますし、事務局も事務所の事件と区別なくサポートしてくれ、それはとても心強く感じていました。

もちろん、理論上は事務所の仕事をおろそかにすることもできてしまうかもしれませんが、そこは「大人のお約束」と言いますか、事務所がアソシエイト一人ひとりをプロフェッショナルとして信頼しているからこそ、成り立っている制度なのだと思います。事務所の短期的な経営だけを考えれば非効率かもしれませんが、長い目で弁護士を育てていく、皆が「ひとかどの弁護士」になれるよう応援しサポートする。当事務所が、アソシエイト全員にパートナーになってもらい、長く事務所で働き続けてもらいたいと考えていることが、個人受任を推奨するという制度にも表れているのだろうと思います。

事務所の文化・働き方

全てのアソシエイトに
パートナーになってもらいたい

多様な弁護士の方々が、それぞれのスタイルで活躍できる背景には、どのような事務所のカルチャーがあるのでしょうか?

全員の顔が見えて互いに尊重し合う関係性があること、そして「家族主義」という理念が根付いていること、この二つが大きいと思います。

よく、「アソシエイト同期はライバルで、競争があるのだろう」「パートナーになったら、自分で仕事を取ってこなければならないのが大変なのではないか」といった声を聞きます。その点、当事務所のカルチャーは少し特徴的かもしれません。まず、当事務所では「家族主義」の理念のもと、当事務所に入っていただいたからには全てのアソシエイトにパートナーになってもらいたいと考えています。結果として、他の事務所と比べるとパートナーの比率が高くなります。そして、「パートナーは案件を受任する人」「アソシエイトは実務を動かす人」というような画一的な役割分担にもなっていません。実際、パートナーの中でも、クライアントとのリレーション構築に比重を置くメンバーもいれば、実際の案件処理に深く関わることに比重を置くメンバーもいます。どちらが偉いということは全くなく、それぞれが事務所を支える貴重な専門家として、互いに尊重し合っています。

このような関係性や理念がありますので、例えば、クライアントから専門性の高い相談があった際も、事務所の誰を頼ればいいかすぐに分かり、またセクショナリズムに陥ることなく、異なる分野の専門家にも気兼ねなく相談でき、誰でも快く力を貸してくれます。この風通しの良さは、当事務所の大きな魅力だと思います。

皆様へのメッセージ

私たちが共に働きたいと願うのは、何よりもまず、当事務所を自らの成長の舞台として捉え、主体的にキャリアを築いていこうという意欲のある方です。

弁護士の仕事は多岐にわたります。最初から特定の分野に固執するのではなく、まずは何事も「面白そう」と捉えて飛び込んでみる柔軟性を当事務所は大切にしていると思います。多様な案件や個性豊かな弁護士と関わる中で、ご自身の興味の核を見つけ、自分だけの弁護士像を目指していただきたいなと思います。

そして、当事務所が全弁護士に目指してほしいと願っている「ひとかどの弁護士」の形は、一つではありません。法そのものを深く探求することに喜びを見出す方、クライアントや仲間との対話を通じて価値を生み出すことにやりがいを感じる方、あるいはそれ以外の、様々なタイプの弁護士がいてこそ、私たちの総合事務所としての強みが生まれます。大切なのは、異なるタイプのプロフェッショナルを互いに尊重し、事務所全体としてクライアントのために全力を尽くすことです。

そのような様々なタイプの弁護士と様々な案件に取り組まれる中で、ご自身の強みを見つけ、活かし、仲間と共に成長していきたいという方と、お会いできることを楽しみにしています。